
令和7年度処遇改善等加算の改正
本記事では、保育所等における処遇改善等加算の令和7年度改正について解説します。
認可保育所や認定こども園等(以下、保育所等)の公定価格には、保育士等の処遇改善のため、職員の経験年数や処遇改善の実績に応じた加算が設けられており、これを処遇改善等加算といいます。
この処遇改善等加算は、これまでその加算の目的・趣旨に応じて、処遇改善等加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに区分されていました。
区分が分かれていることにより事務処理が非常に煩雑となっていたため、事務負担軽減の観点から令和7年度の改正によって、一本化されることとなりました。
今回の記事では、処遇改善等加算等加算の改正について、その体系の変更を中心に概要を説明していきます。
改正前の処遇改善等加算の体系
令和6年度以前の処遇改善等加算は、その目的別に以下の3つに区分されていました。
・処遇改善等加算Ⅰ:職員の平均経験年数に応じた昇給(基礎分)及び賃金改善やキャリアパス構築の取り組み(賃金改善要件分)
・処遇改善等加算Ⅱ:職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善
・処遇改善等加算Ⅲ:職員の賃金の継続的な引き上げ
平成27年に処遇改善等加算Ⅰが策定され、その後平成29年に処遇改善等加算Ⅱが、令和4年に処遇改善加算Ⅲが後付け的に追加されていきました。
この結果、制度が複雑化し、加算の区分が増える毎に申請・報告様式も増加していったため、保育所等運営事業者に多大な事務負担が生じることとなりました。
処遇改善等加算の一本化
そこで、事務負担軽減の観点から、令和7年度より処遇改善等加算の見直しが行われることとなりました。
大きな改正内容としては、処遇改善等加算の体系変更です。
処遇改善等加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと別れていた区分を一本化することになりました。
これにより、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲそれぞれの区分で申請様式及び実績報告様式があったところ、その様式が統一され、申請手続きが簡素化されています。
一方で、従来の加算の目的・趣旨を踏まえて、改正後の処遇改善加算にも「基礎分」「賃金改善分」、「質の向上分」という3つの区分が設定されています。
区分1(基礎分)
区分1は経験に応じた昇給の仕組みの整備、職場環境の改善を目的としており、従来の処遇改善加算Ⅰの基礎分にあたります。
全職員を対象としており、定期昇給等に充当することで賃金改善を図ります。
また、旧処遇改善等加算Ⅰのキャリアパス要件が、区分1の必須要件となりました。
キャリアパス要件は以下の要件をいずれも満たしている必要があります。
1.次のア及びイに掲げる要件の全てに適合し、それらの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての職員に周知していること。
ア 職員の職位、職責又は職務内容に応じた勤務条件等の要件(職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
イ アに掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)を定めていること。
2.職員の職務内容を踏まえ、職員と意見を交換しながら、資質向上の目標並びに次のア及びイに掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修(通常業務中に行うものを除き、教育に係る長期休業期間に行うものを含む。)の実施又は研修の機会を確保し、それをすべての職員に周知していること
ア 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導を実施するとともに、そのフィードバックを行うこと。
イ 幼稚園教諭免許状・保育士資格等を取得しようとする者がいる場合は、資格取得のための支援を実施すること。
ただし、令和7年度に限り、キャリアパス要件を満たしていない場合は区分2から2%を減率するという経過措置がとられています。
区分2(賃金改善分)
区分2は、職員の賃金改善を目的としており、従来の処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分及び処遇改善等加算Ⅲが統合される形となりました。
区分1と同じく全職員を対象としており、基本給、毎月決まって支払われる手当、賞与又は一時金等によって支給することで改善を行うこととされています。
ただし、区分3と併せた加算による改善額のうち、1/2以上は、基本給、毎月決まって支払われる手当によって改善することが必要です。
区分3(質の向上分)
区分3は、技能・経験の向上に応じた賃金の改善を目的としており、従来の処遇改善加算Ⅱにあたります。
対象者は、特定の研修を修了した副主任保育士等、職務分野別リーダー等とされており、基本給、毎月決まって支払われる手当による改善が必要です。
区分3は、園長には配分することはできませんが、副主任等の賃金を改善することで、主任保育士等園長以外の賃金を上回るなどの場合に、賃金のバランスを考慮する目的で園長以外の管理職に対しては配分することができるとされています。
これは旧処遇改善加算Ⅱと同様です。
まとめ
今回の記事では、保育所等における処遇改善等加算の令和7年度改正について、その体系の改正を中心に解説していきました。
改正後においても3つの区分に分かれていることから、制度の複雑さが解消されているかどうかは疑問が残るところではありますが、申請・報告書類が減少したことで、多少の事務負担軽減は見込まれます。
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