
委託費の積立資産への積立て
本記事では、委託費の積立資産への積立てついて解説します。
認可保育所には、所轄の自治体から委託費としてその保育所の運営に要する費用が支弁されます。
そして、この委託費は、支弁された保育所における当該年度の人件費、管理費、事務費に使用することが原則とされており、それ以外の使用は禁止されています。
だだし、弾力運用の要件を満たしている保育所においては、将来の支出のために委託費を積立資産として積立てることができるとされています。
そこで、今回の記事では、委託費を積立資産として積立てるための要件や、その範囲について詳しく解説していきます。
委託費の積立資産への積立てを行うための要件
認可保育所が委託費を積立資産へ積立てるためには、弾力運用の要件を充足している必要があります。
また、第二段階まで充足している場合は、第一段階では認められていない目的のために、積立資産を積み立てることができるようになります。
第一段階、第二段階の要件は、ほぼすべての保育所で充足しているためここでは詳細な解説は行いませんが、第三段階の要件は以下の3項目すべてを満たしていることです。
※第一段階、第二段階の要件は、以下の記事で解説を行っております。
- 決算書を保育所に備えおき、閲覧に供している。
- 以下のいずれか実施されている
- 第三者評価加算の認定を受け、サービスの質の向上に努めている。
- 入所者に対して苦情解決の仕組みが周知されており、第三者委員を設置して適切な対応を行っているとともに、入所者からのサービスに係る苦情内容及び解決結果の定期的な公表を行うなど、利用者の保護に努めている。
- 処遇改善等加算の賃金改善要件(キャリアパス要件含む)のいずれも満たしている。
第一段階の要件を充足している認可保育所の積立資産
弾力運用の第一段階の要件を充足している場合は、以下の積立資産への積み立てが可能です。
- 人件費積立資産
- 修繕積立資産
- 備品等購入積立資産
それぞれの積立資産について、使用することができる支出の範囲を解説していきます。
まず、人件費積立資産は、その名称の通り、人件費に充てることができます。
人件費とは給与や賞与だけではなく、社会保険料などの法定福利費、退職金やその掛金、派遣職員の派遣料も含まれます。
次に、修繕積立資産は、建物、建物附属設備、機械、器具備品等、施設の設備に係る修繕に要する費用に充てることができます。
最後に、備品等購入積立資産は、施設の運営に必要な備品の購入に充てることができます。
第二段階の要件を充足している認可保育所の積立資産
弾力運用の第二段階の要件を充足している場合は、第一段階の三種類の積立資産に加え、保育所施設・設備整備等積立資産への積立てが可能です。
この積立資産は、以下の支出に充てることができます。
- 保育所等の建物、設備の整備・修繕、環境の改善等に要する経費
- 保育所等の土地又は建物の賃借料
つまり、修繕積立資産、備品等購入積立資産を包括し、保育所等の賃借料をその使途に加えた積立資産であり、広範囲への支出が可能となっています。
第三段階の要件を充足している認可保育所の積立資産
第三段階の要件を充足している認可保育所の場合、人件費積立資産と保育所施設・設備整備積立資産に積み立てることが可能です。
これは、第二段階の認可保育所と同じように見えますが、第三段階の保育所施設・設備整備積立資産は土地の取得に要する経費にも充てることが可能とされています。
ただし、当該積立資産を使用して取得することができる土地は、当該保育所の増改築に係る経費について、都道府県知事の承認を得るとともに、都道府県及び市町村など関係行政機関との事前協議及び地元調整が終了しており、施設の整備が確実な場合に限るものとされています。
取得した土地を保育所運営の事業に使用せず、保有し続けることはできないため注意が必要です。
積立資産の積立て限度額
第一段階及び第三段階の要件を充足した認可保育所において積立てる積立資産については、その限度額は指定されていません。
当期資金収支差額を超えない限りは、自由に積立てを行うことができます。
ただし、第二段階の要件で積立てを行う保育所施設・設備整備積立資産は、処遇改善等加算Ⅰの改善基礎分が限度とされています。
また、社会福祉法人会計基準において、積立資産と同額の積立金を積立てることとされています。
この積立金は、当期活動増減差額の範囲内とする必要があります。
積立資産の目的外取崩し
積立資産は原則としてその積立てた目的のためにのみ支出することができますが、所轄自治体と事前協議(社会福祉法人及び学校法人においては理事会の決議)を行うことにより、その目的以外の支出へ充てる(目的外取崩し)ことが可能です。
ただし、目的外取崩しは、その使途範囲が当該施設の運営や入所児童の処遇に必要な経費、経理等通知の別表2に係る経費に限るとされています。
※経理等通知別表2の経費は以下の記事で解説しています。
【認可保育所における委託費の弾力運用】
また、積立てを行った施設の経費に充てる場合はすべて目的外取崩しとなります。
例えば人件費積立資産を他の施設に所属する職員の給与に使用した場合も目的外取崩しですので、事前協議または理事会の決議が必要です。
まとめ
今回の記事では、認可保育所が委託費を積立資産に積立てることができる要件や、その種類について解説していきました。
いったん積立資産に積立てるとその使途が限定されることになり、目的外取崩しを行うためには事前協議や理事会の決議を行う必要があるため注意が必要です。
積立資産として保有している預金の積立目的を把握し、その目的以外に使用することがないように管理しておくことも重要です。
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